祝!!                                   第50回ENEOS音楽賞 洋楽部門本賞   受賞                      

贈賞理由

柔らかな美声と高度のテクニック、普遍性に富んだ音楽性で大輪の花を数々咲かせてきた佐藤美枝子氏は今、一層の円熟期を迎えている。最初に世界的な注目を集めたのは1998年、チャイコフスキー国際コンクールでの堂々優勝だった。以後20年余、軽やかなコロラトゥーラと滑らかなベルカントを大きな魅力に、「ランメルモールのルチア」や「ランスへの旅」他で本領を発揮。「夕鶴」等の日本オペラでも、日本語と日本女性本来の声を磨き上げた歌唱力で作品世界を深めた。さらにそこに留まることなく、自身の年齢や声の変化に応じて表現の幅を無理なく広げることに成功。2020年2月、藤原歌劇団「リゴレット」のジルダでの見事な演唱が大器ぶりを実証した。今後、芸域のさらなる深まりに期待したい。

(音楽賞洋楽部門 選考委員会)

 

略歴

大分県生まれ。武蔵野音楽大学卒業。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部修了後、イタリアに留学。留学中に第7回五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞し、1997年より(公財)五島記念文化財団の奨学生としてさらに2年間イタリアで研鑽を積む。1998年第11回チャイコフスキー国際音楽コンクール声楽部門で日本人初の第1位を受賞し注目を集めた。藤原歌劇団には2000年に最も得意とする「ランメルモールのルチア」のタイトルロールでデビュー。日本を代表するソプラノとして藤原歌劇団、新国立劇場をはじめ、国内外多数のオペラに出演している他、オーケストラとの共演や全国各地でのリサイタル等、幅広く活躍している。CDは「至上のルチア」「ああ、信じられないわ~オペラ・アリア集」など7枚をリリース。武蔵野音楽大学教授、大分県立芸術文化短期大学客員教授。藤原歌劇団団員。日本オペラ協会会員